

このような疑問にお答えします。
今回は自然の効果について紹介します。
現代人はかつてない危機に陥っています。
それは近代化が進み、自然に触れなくなったことです。
実は自然というのは人間にとって必要不可欠なものなんです。
実際、数万年という単位で人間は自然と暮らしてきました。
ですが、ここ数百年で自然との関わりはかなり少なくなってしまいました。
それがどのくらいの影響を及ぼすのかを科学的に解説したいと思います。
特に子どもへの影響はかなり大きいので、ぜひ参考にしてみてください。
それでは早速見ていきましょう。
目次
自然の重要性
現代人は自然との関わりが非常に少ないです。
最近、都市の人口が地方の人口を上回ったと言われています。
コロナでリモートワークが普及したからと言ってもまだまだ都市で生活している人は多いです。
そんな人たちを襲うのが「自然欠乏障害(自然欠乏症候群)」と言われる症状です。
この影響は特に子どもの方が大きいと言われています。
では、自然欠乏障害によって、実際にどんな影響が出ているのでしょうか?
自然欠乏障害の影響
- メンタルの悪化
- 注意力の低下
- 認知機能の低下
それでは一つずつ見ていきましょう。
メンタルの悪化
まず自然欠乏障害の1つ目の影響が「メンタルの悪化」です。
これが一番大きい悪影響かもしれません。
自然とメンタルに関する研究は枚挙にいとまがありません。
それほど自然とメンタルには深いつながりがあるんです。
ここでは忠南大学で行われた研究を見てみましょう。
実験内容
この実験ではテクノロジー依存症のボーダーラインの11~12歳の子どもを対象として、自然がメンタルに与える影響を調べました。
その結果、自然の中でわずか2日間過ごすだけで、コルチゾールが下がり、自尊心の評価が大きく改善されました。
つまり、自然に触れないとこの逆が起きるということです。
コルチゾールが増加し、自尊心が大きく低下してしまうわけです。
そりゃあうつ病などにもなりやすくなりますよね。
実際に最近のうつ病などの精神疾患の一因は自然との隔絶にあるとも言われています。

注意力の低下
自然欠乏障害の2つ目の影響が「注意力の低下」です。
一見、自然と注意力はなんの関係もなさそうに思います。
ですが、実は自然と注意力には深いつながりがあるんです。
アメリカでは都市化が進むにつれて、ある病気が急増しているんです。
その病気とは「ADHD(注意欠陥多動性障害)」です。
これはThe Journal of Clinical Psychiatryという科学雑誌に掲載された研究です。
実験内容
5~17歳の190,408人を対象として、子どものADHDの診断に関するデータを調べました。
その結果、過去10年間で有病率がなんと43%も増加していることが分かりました。
つまり、ADHDの子どもは10年前より約1.5倍ほど増えているということです。
現在では8人に1人がADHDだとも言われています。

これはアメリカの調査ではありますが、おそらく日本も似たような感じだと思います。
もちろん、自然との隔絶がすべての原因ではありませんが、一因であることはほぼ確実だと思います。
認知機能の低下
自然欠乏障害の3つ目の影響が「認知機能の低下」です。
この認知機能は自然欠乏障害で起こるというより、人口騒音によって引き起こされることが分かっています。
これは『ランセット』という有名な科学雑誌に掲載された研究です。
実験内容
イギリス、スペイン、オランダの主要空港の近辺にある小学校に通う生徒1,000人の子どもたちの読解力と記憶力と多動を調べました。
その結果、騒音が明らかな悪影響を及ぼしていると分かりました。
- 騒音が5デシベル上昇すると読解力で2ヶ月分の遅れがでる
- 騒音が20デシベル高い地域に暮らす子供は1年近くも勉強で遅れをとる
つまり、人口騒音が大きいところで育つ子ほど学習速度が遅れてしまうんです。
これはおそらく幹線道路の近くとかでも同じような結果が考えられると思います。
なので、出来るだけ家や学校の周りが静かなところの方がお子さんのためになると思いますよ。

ここまで自然欠乏症における影響を見てきました。
ここからは自然のすごい効果を見ていきましょう。
自然のとんでもない効果
自然の効果はいくら強調してもしすぎることはありません。
それくらいすごいんです!
自然の効果
- 自然の中で55%も○○できる
- 数日間過ごすだけで○○が50%上昇
- 自然の中で過ごすと○○が70%も改善
それでは一つずつ見ていきましょう。
自然の中で○○が下がる
自然の中に行くとあることが55%もできるようになります。
それは「リラックス」です。
なんと自然の中に行くことは大きなリラックス効果があるんです。
これは日本で行われた研究です。
実験内容
被験者420人を対象として、森林浴における生理学作用について調べました。
その結果、以下のことが分かりました。
- コルチゾールレベルが12.4%減少
- 交感神経活動が7.0%減少
- 収縮期血圧の1.4%の減少
- 心拍数の減少
- 副交感神経活動が55.0%増加
つまり、自然はストレスを減らし、リラックス効果が高いことを示しています。
慢性的なストレスはIQの低下やメンタルの不調をきたしてしまいます。
ですが、自然に行くことでそのストレスの大部分をリリースすることができます。
特に現代の子どもはデジタルデバイスなどのせいでストレスがかかりやすくなっています。
ぜひ定期的にストレスをリリースし、リラックスするために自然の中に行くことをおすすめします。

数日間過ごすだけで○○が50%上昇
自然の中でたった数日間過ごすだけで○○が50%上昇します。
その○○とは「創造力」です。
自然の中で過ごすと1.5倍も創造力が高くなるんです。
カンザス大学での研究を見てみましょう。
実験内容
この実験では被験者に4日間にわたってハイキングをしてもらい、その後に認知機能を計るテストを実施しました。
その結果、創造性や問題解決のタスクのパフォーマンスがなんと50%も向上していたことが分かりました。
つまり、すごく簡単に言うと、自然は頭を良くする効果があるということです。
これはただ自然の中にいるだけで良いんです。
さらに効果を高めたい場合は自然の中で運動をさせてあげてください。
そうすることで脳機能が爆上がりします。
運動と自然の組み合わせは最強なので、ぜひ試してみてください。

自然の中で過ごすと○○が70%も改善
自然の中で過ごすとある症状が70%近くも改善します。
その症状とは「ADHD(注意欠陥多動性障害)」です。
実は自然の中で過ごすとADHDの症状が改善することが分かっているんです。
イリノイ大学のフランシス・クオ氏の研究です。
実験内容
この実験ではADHDの子どもを2つの場合に分けました。
- 室内で過ごした場合
- 自然の中で過ごした場合
これらを比較したところ、自然の中で過ごすとADHDの症状が3分の1に減ることが分かりました。
ADHDの症状が3分の1減るのではなく、3分の1まで減るんです。
つまり、約70%近くもADHDの症状が改善されるんです。

また、自然が豊かなフィンランドの子どもは、都会育ちのアメリカの子どもよりもADHDの薬を服用することが少ないことも分かっています。
ADHDでこれだけの改善がみられるのであれば普通の子どもへの影響はかなり大きいと思います。

参考著書
|『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方』
おすすめの本は自然に関しての影響が書かれた本です。
上記で紹介した研究の内容はこの本をもとにしています。
実は自然というのは人間にとって必要不可欠なものであることが明確に示されています。
メンタル面の病がここまで増えた原因も自然にあるかもしれません。
そんな内容が書かれている本なので、ぜひ一読ください。
最後に
子どもはいかに自然の中で過ごすのが最重要課題だと思います。
都会に住んでいる方も多いとは思いますが、休日などはぜひ自然の中で過ごす時間をとってみてください。
次回はどのくらい自然の中で過ごせばいいのかについて紹介します。
お楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
Racial and Ethnic Disparities in Parent-Reported Diagnosis of ADHD: National Survey of Children’s Health (2003, 2007, and 2011) https://www.psychiatrist.com/jcp/delivery/racial-ethnic-disparities-parent-reported-diagnosis/
Atchley RA, Strayer DL, Atchley P (2012) 野生の創造性: 自然の環境に浸ることで創造的な推論を改善する。PLoS ONE 7(12): e51474。https://doi.org/10.1371/journal.pone.0051474
Miyazaki Y, Lee J, Park BJ, Tsunetsugu Y, Matsunaga K. [Preventive medical effects of nature therapy]. Nihon Eiseigaku Zasshi. 2011 Sep;66(4):651-6. Japanese. doi: 10.1265/jjh.66.651. PMID: 21996763.